1.2. 生命の範囲
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生命を科学的に研究する学問
生命の特徴
生命 lifeの科学的研究を生物学と定義すると、いくつかの明白な問題が提示される 「生命とは何か」とか「生物と非生物をどのように区別するか」
生命に結びついた特徴やプロセス
規則性
すべての生物は、松かさの構造で見られるように複雑な、しかし規則的な構成をしている 制御
外部の環境は激しく変化するかもしれないが、生物はその内部の環境を制御し、適当な範囲に保つことができる
成長と発達
エネルギーの利用
生物はエネルギーを取り入れ、これを消費してすべての生命活動を行う ツノメドリは魚を食べてエネルギーを摂取し、このエネルギーを用いて泳ぎなどの活動をする 環境応答
すべての生物は環境からの刺激に応答する
生殖
生物は自分と同種のものを増殖する
進化
生殖は、時間を通して生物集団が変化(進化)する能力を保証する 生命が約40億年前に出現して以来、進化的変化は中心的ですべてに共通する生命の特徴である
さまざまな階層での生命
本書では地球規模の生物圏から分子を扱う微小な階層まで探求する
生命を支える地球上のすべての領域を指し、土壌や海洋、湖などの水圏や下層の大気圏も含んでいる 特定の地域に生息するすべての生物とともに、水、空気、土壌、日光など生命に影響を与える非生物的物理環境も含む
群衆内には、1つの種の互いに相互作用する個体のグループという様々な集団がある
たとえば、イグアナのグループ
生物とは個々の生きている個体を指す
生物の体は2つ以上の器官を含むいくつかの器官系からなる
各器官はいくつかの異なる組織からできている
たとえば、心筋組織は特定の機能を持つ一群の同種の細胞からなる 細胞は、生命のすべての特徴を示す最小単位である
細胞内の機能成分
化学的階層
分子とは、原子というさらに小さい化学的単位の集まり
各細胞は膨大な数の化学物質からなり、これらはともに働いて、細胞に生命と呼ばれる特徴を付与する それぞれ1つ上の階層では新たな特性が現れる
新たな特性とは、その下の階層の各成分が持つものとは異なる
例えば、生命は細胞の階層で初めて現れるが、試験管いっぱいに生体分子を集めてもそれらは生きているとはいえない
「全体は部分の総和よりも大きい」
全体が持つ新たな特性とは、部分同士の特別な配置や相互作用から生じる
生態系
生命は真空中では存在できない
それぞれの生物は他の生物や非生物因子を含む周りの環境といつも相互作用している
この樹はまた酸素を待機中に放出し、根は岩石を砕き土壌形成を助ける
生物と環境はともに両者の相互作用の影響をうける
樹はまた他の生物とも相互作用する
どんな生態系のダイナミクスも2つの主要なプロセスに依存している
栄養物の循環
無機塩類は落ちや場やその他の有機廃物を分解する微生物によって最終的に土壌にリサイクルされる 消費者は植物に直接もしくは間接的に依存する動物などの生物 分解者はカビや多くの細菌などで、複雑な死んだ物質を再利用できる単純な栄養物に変える エネルギーの流れ
循環する栄養物とは異なり生態系は、常にエネルギーを獲得するとともに失っている
太陽光として生態系に入ってくるエネルギーは生産者が固定する
光合成生物が太陽エネルギーを吸収し糖などの複雑な分子の化学エネルギーに変換する
化学エネルギーは次に一連の消費者に渡され、最終的には分解者に渡されることで、順番に各々の生物にエネルギーを与える
変換プロセスにおいて、一部は熱に変換され、生態系から失われる こうして、生態系を通して流れるエネルギーは光として入ってきて、熱としてでていく
生物圏は非常に多彩な生態系に富んでいる
人間はすべての生態系において何かしら関わっており、しばしば破壊的
細胞とDNA
生命に必要とされるすべての活動を行うことができる最も低い階層の構造
すべての生物は細胞で構成されている
どちらの場合も、細胞は生物の構造や機能の基本単位
細胞が分裂して新しい細胞を作る能力はすべての増殖とヒトを含む多細胞生物の成長と修復の基盤
細胞には2つの主要な種類
真核細胞よりもはるかに単純で通常はずっと小さい
内部の膜によって多数の機能が異なる細胞小器官と呼ばれる区画に分割されている たとえば、核はほとんどの真核細胞で最大の細胞小器官で、DNAを格納している 植物や動物を含む他のほとんどの生物
原核細胞と真核細胞は分子レベルで共通点が多い
最も重要なことは、両方とも遺伝情報の明確な単位である遺伝子を担う化学物質としてDNAを利用している点 すべての生物に共通な化学の言語で書かれている
平均的なサイズの遺伝子は数百から数千の化学「文字」でできている
細胞にとっての遺伝子の意味はこれらの文字の特異的配列に隠されている
ある遺伝子は「細菌細胞内に青い色素を合成せよ」と翻訳され、別の遺伝子は「ヒトのインスリンを細胞内でつくれ」を意味している ヒトのインスリン生産に必要な遺伝子がそのDNA中に挿入されているのでインスリンを合成することができる
生物学的情報がDNAという普遍的な化学の言語で書かれているのでこのようなことが初めて可能になった
ヒトの細胞核は約30億の化学文字の長さのゲノムを収納している
さらに他の生物(大腸菌、イヌ、サルなど)のゲノムも決定されてきており、異なる種のゲノムを比較することも可能になってきた 生命の多様な形
イグアナは生物学者が認識して命名した約180万種の生物の1つ 既知の生物多様性には、少なくとも29万種以上の植物、5万2000種以上の脊椎動物と100万種以上の昆虫(すべての既知生物の半数以上)が含まれている 毎年何千もの新種がリストに加えられている
地球上の全生物種数の推定値は1000万種から1億種以上という範囲
種のグループ化:基本的概念
実際に多くの異なる種が含まれると認識していても、「リス」とか「蝶」とかいう言葉を使う
より幅広いカテゴリー、たとえば齧歯類(リスなど)や昆虫(蝶など)に仕分けることもある 種を命名し、分類する生物学の分野である分類学は、生物群の階層的な順序を14章で学ぶ方式によって体系化する 生命の3つのドメイン
多様な生物は3つの主要なグループ(ドメイン)に分類されている 光合成によって自ら糖類や他の養分を作り出す
他の生物を摂取し、消化することによって、養分を得る
大部分は分解者であり、死んだ生物を消化することによって養分を得る 3界に当てはまらない
真正細菌と古細菌は、原核細胞を持つが、それぞれが非常に異なった性質を持つグループ
すべての真核生物(真核細胞をもつ生物)は真核生物ドメインに入れられる
そしてさらに界と呼ばれているより下位のカテゴリーに分けられる これらの3界はそれぞれ生物が栄養を得る方法によって部分的には特徴づけられる
多様な生物の普遍性
生命が多様であるならば、どのような統一したテーマをもつことができるであろうか
生物の構造と機能の階層が下位になるほど、生命の多様性の背後に著しい統一性が認められる
生物学の主要な目的の一つは、異なる種が持つ共通の特徴を説明する一方で、そのような多様性がどのように起源したかについて説明すること
すべての生物に共通するDNAの遺伝的言語によって、生物界のすべての界を統合することが可能
どのように、この生命における普遍性と多様性の組み合わせを説明することができるか、その科学的な説明は、進化と呼ばれる生物学的プロセス